神社庁報

福島県神社庁から皆様へのお知らせなどをご案内しています。

東日本大震災物故者慰霊祭斎行

2023年3月13日

3月8日午前11時より、双葉郡双葉町大字中野に鎮座する八幡神社(高倉洋尚宮司)に併設された「合祭殿(遥拝殿)」において、「東日本大震災物故者慰霊祭」が厳粛に斎行されました。

慰霊祭には約40人が参列し、丹治正博庁長、神社庁双葉支部 宇佐神正道支部長、遺族代表 佐藤大和副庁長が玉串を捧げ、図らずも震災の犠牲となった数多の御霊に、安寧と復興への祈りを捧げました。

 

結びに、丹治正博庁長による挨拶文を掲載いたします。

ただ今は、福島県神社庁の主催による東日本大震災発災12年の物故者慰霊祭がここ双葉町中野鎮座の合祭殿に於いて神社庁役員を始め、双葉支部神職ほか関係の皆様方多数ご参列のもと、恙無く斎行されました。先の大震災で尊い命を落とされた方々、また震災後の災害関連死で亡くなられた多くの方々、そして未だ行方不明の多くの方々の御霊の安らかならんことを、福島県内2,990社を代表してお祈り申し上げました。

あの忌まわしい大震災から早12年の歳月が流れました。当時の復興祈願祭の祭詞を見直してみますと、冒頭に「去し平成の二十三年辛卯の歳の三月十一日の未の刻と云ふに東日本大震災と名付くる嘗て無き大地震揺りて」とあり、幾度となく奏上した記憶が甦ってきました。今年の干支が癸卯ですので、あの年から干支が一回りした事になります。大震災に伴う原子力災害により避難を余儀無くされた地には多くの神社が取り残されました。こうした被災神社の将来に亘る信仰の継承のため、当庁の復興事業として進めておりました合祭殿の建設は様々な紆余曲折がありましたが、関係者皆様の熱意により一昨年令和3年の9月に無事竣功をみました。本日はここ合祭殿での2回目の慰霊祭を迎えることとなりました。

原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域の避難指示解除については、昨年大熊町と双葉町が6月と8月に解除され、今年は3月31日に浪江町が、4月初旬に富岡町の解除が決定しております。解除に伴い、環境の整備が進む一方で、第一原発処理水の海洋放出に向けての海底トンネルの掘削が進む中、漁業者等関係者の理解は進まず、昨年12月には文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が原発事故に伴う国の賠償基準「中間指針」を見直して対象を大幅に拡充する第五次追補を決定、公表されるなど、昨年は廃炉とともに難しい課題を抱えた一年となりました。

被災神社の復興再建につきましては、原発補償金と神社庁の東日本大震災被災復興基金を活用した再建が進み、大阪の(株)創建による楢葉町・清神社の無償再建奉納事業も無事竣功をみましたが、いまだ手つかずの神社が双葉支部内に36社存在する状況が続いています。神社庁では、原子力災害により立入りが制限された地域に鎮座する神社の将来に亘る信仰の護持継承の観点から、遙拝施設「合祭殿」の建設を復興事業の柱と位置付け、事業に取り組んで参りました。コロナ禍の影響もあり、予定より一年遅れの令和3年8月に完成し、9月14日に竣功奉告祭及び記念植樹が行われました。その後、昨年の令和4年3月10日に合祭殿における最初の「東日本大震災物故者慰霊祭」が斎行されました。

合祭殿が位置する国営の追悼・祈念施設「福島県復興祈念公園」の整備はご覧の通り進んでおり、合祭殿の周囲の景観も昨年から大きく変貌を遂げております。こうした中で、合祭殿を活用した被災神社による祭典・行事の実施促進に向け、双葉支部内神職への働きかけを行って参りましたが、活用が進んでいない状況が続いており、庁としては憂慮いたしております。

こうした中、去る3月5日に浪江町の初發神社を会場に「なみえ寺子屋」が開催された旨の新聞記事に接しました。地域の神社に伝わる伝統芸能が消えゆく今、如何に後世に継承していくか、地元の町民と県外からの移住者がアイデアを出し合い実行に移そうとする試みです。被災地における新たな動きとして大いに期待するものです。

今後、復興祈念公園が全貌を現す頃には、合祭殿及び境内において各神社が神事を執り行い、合わせて公園内の「お祭り広場」を活用しての神事芸能をはじめ放生会、流鏑馬、山車の引き回し、子供相撲大会などの稽古、発表に連動させる事を目論んでいます。憲法の政教分離原則への抵触を回避しながら、神事を厳修し、神賑行事と連動させるという、被災神社復興の先進事例として全国に例を見ない本事業は、本県被災地神社にとっても復興の象徴とも言うべき事業となりますことから関係する皆様方の更なるご理解を期待申し上げるものであります。

双葉支部を中心とした被災神社の再建事業については、再建の資として当庁が管理しております東日本大震災被災復興基金が当初の助成期間である十年を昨年迎えましたが、近年、ようやく再建に向けた動きが目立って見られるようになっていることから、「東日本大震災被災復興基金管理審議委員会」では、被災神社への復興支援助成期間の延長を行うとともに、庁の一般会計の残高状況を睨みながら、可能な限りの基金積み増しを行っていく所存でございます。

神社庁はこの12年間、試行錯誤を繰り返しながら、被災神社に寄り添う努力を続けて参りました。私たち神社関係者は、これから先も大震災の惨禍を忘れることなく節目節目で御霊の安寧と復興への祈りを捧げ続けること、そして被災神社の信仰を子々孫々にまで守り伝える努力を怠らないことをここに御霊等にお誓い申し上げます。結びに、本日の慰霊祭の斎行にあたりご協力を賜りました八幡神社髙倉宮司様を始め、双葉支部、相馬支部、いわき支部の皆様、祭典奏楽のご奉仕を頂いた福島県雅楽会の皆様、そして祭壇のご提供を頂いた開成山大神宮様、テントのご提供を頂いた國魂神社宮川宮司様、斎場の設営を頂いた福島県神道青年会の諸君のご奉仕に対し、心よりの感謝を申し上げ、庁長の挨拶と致します。本日はご参列まことにありがとうございました。