神社庁報

福島県神社庁から皆様へのお知らせなどをご案内しています。

令和五年癸卯歳の年頭にあたり

2023年1月23日

令和五年癸卯歳の年頭にあたり

福島県神社庁長 丹 治 正 博

 皆様、明けましてお目出度うございます。令和五年癸卯歳の年頭にあたり、謹んで新年の御祝詞を申し上げます。

 畏くも天皇皇后両陛下におかせられましては、実に三年ぶりとなる新年一般参賀にお出ましになられ、上皇・上皇后両陛下、愛子内親王殿下、秋篠宮皇嗣殿下を始め皇族の皆さまとともに国民の祝意をお受けになられました。天皇陛下はご挨拶の中で、昨年の地震や台風、大雪などの自然災害と新型コロナウイルス、そして沖縄の本土復帰五十年や世界各地の戦争に言及され被害を受けた人々に寄り添われるとともに、今年は異例のことながら「物価の高騰」の話題に触れられ、国民の家庭生活での苦労に思いを馳せられました。

 また、皇后陛下には「歌会始の儀」で《皇室に君と歩みし半生を見守りくれし親しき友ら》との御歌をお詠みになられました。本年は両陛下の御成婚三十年の慶事を迎えられるにあたり、人生の半分を皇室で過ごされる中でも、支えてくれた友人らへの感謝のお気持ちを込められました。私共神社に関わる者は、両陛下の御慶事を心よりお祝い申し上げるとともに、令和の御代の長久なることをお祈り申し上げるものであります。

 さて、神宮の御事につきましては、正月三が日の参拝者数が三十七万五千人で前年比で四万三千人の増加となりました。また昨年一年間の総参拝者数は六百三万七千人で前年比二百二十万九千人の増加となり回復傾向にあります。

 県内の初詣につきましては、コロナ感染の再拡大の中ではありましたが、年末年始に穏やかな天候が続いたこともあり、各神社の御社頭は概ね昨年を上回る参拝者で賑わい安堵致しました。コロナ禍の中、令和三年から三回目の初詣は、さしたる混乱もなく、密を避け、分散する、人数を限定しての予約祈祷など、新しい参拝形式が定着しつつあることを実感しております。

 さて、今年の干支は十干十二支の四十番目に位置する「癸卯」(みずのとう)の歳です。この年は、停滞した世の中に希望が芽吹き、花開く前の助走の年です。これまで積み重ねてきた自身の力が試される年でもあるため、最後まで諦めずに希望を持ち続けることが道を開く鍵になります。ただし「癸」と「卯」は「水生木」という関係にあり、適度な水は木を育むが、水のやりすぎは根腐れを起こすことから、「癸卯」の年は無理をしすぎず、頑張りすぎず、ほどほどであることが肝心だと言われています。今まで尽くしてきた実績を信じ、おおらかな気持ちで天命を待つ心のゆとりも必要でしょう。

 本年は東日本大震災から数えて十二年の年を迎えます。原子力災害により立入りが制限された神社の遙拝施設としての「合祭殿」が一昨年九月に竣功し、昨年三月には竣功後初めての慰霊祭が斎行されました。合祭殿が位置する福島県復興祈念公園の造成工事も進み、周辺の景観も大きく変わりつつあります。神社庁では本年、多発する自然災害に備えるため、自然災害復興基金を創設し、その運用につき審議委員会での検討を開始するほか、長年の懸案でありました支部再編についても、着手して参る予定です。コロナの収束が見通せぬ中、今年も臨機応変な庁運営が求められることになりますが、皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。今年一年の県内神社のご社頭のご隆昌と、神社関係者各位のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶と致します。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。