神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第11章 人生儀礼
やってみればわかります その大切さ

[子供の儀礼] 

一、七五三のお参り

髪置き(かみおき) 袴着(はかまぎ) 帯解き(おびとき)なぜ行うの?

 七五三は、子どもの人生儀礼の代表にあげられます。数え年三歳の男の子と女の子、五歳の男の子、七歳の女の子が十一月十五日に氏神さまにお参りし、健やかな成長と健康を祈ります。七五三と呼ばれる儀式の原型は江戸時代、将軍綱吉の子徳松君の髪置きに始まったとされています。庶民など一般に広まったのは明治の初めといわれています。古くは、平安時代の公家の習慣である髪置き(かみおき)、袴着(はかまぎ)、帯解き(おびとき)に由来します。髪置きとは、誕生後初めて髪を伸ばし始める儀式で男女共に三歳の吉日を選んで行いました。袴着というのは、五歳の男の子が初めて袴をはく儀式です。碁盤(ごばん)の上に立って、吉方に向き、左足から袴をはいて、小袖を着て、扇を持ちました。碁盤の上に立つのは、宮中では、碁盤は吉方を占う道具であり、武家では碁盤の上の勝負を城取りになぞらえて、それに乗ることで天下を取ることを願ったのです。左から袴をはくのは、吉とされた陽の足から入れることに由来するものです。帯解きは、帯結びなどとも言われ、室町時代の上流階級の女の子が七歳になるまで着ていた着物から付け紐だけとって、初めて本格的な帯を締めることができるようになったことをいいます。「七つまでは神の子」といわれますが、七つになってはじめて社会からその人格が認められたのです。
 七五三が十一月十五日に行われるようになったのは、その日が暦の上で満月に最も近い日であり、陰陽道(おんみょうどう)でいう最上の吉日とされているからです。稲の収穫を終え、比較的天候の安定した時期ということもあります。晴れ着を着て家族揃って神社にお参りし、長寿と健康の願いが込められた千歳飴をいただきます。

二、勧学祭(かんがくさい)

入園 入学式 この日を待ちこがれていました

 桜ほころぶ春四月には、待ちに待った入園、入学式が行なわれます。幼稚園の入園、小学校の入学にあたり、神社では学業成就と身体健全を祈願する勧学祭が行われます。特に小学校への新入学の際には、集団生活を始めるにあたり環境の変化にいち早く慣れ、精神的にも、身体的にも落ち着いて楽しく学べるようお参りします。小学校、中学校、高校、大学と進む毎に、常に入学を奉告(ほうこく)し、神さまのご加護をいただきます。また、卒業に際しても感謝の御礼参りをします。

三、受験合格祈願

人生最初の試練 神さまどうかお見守り下さい

 辛(つら)い受験勉強。受験生の負担は相当なものです。このような人生最初の試練に力を貸していただけるよう、試験に当たり合格祈願を致します。厳しい受験戦争に勝つため、お神札やお守りを受け、体調もよく、平常心で実力を発揮できるようお願いします。合格祈願は一般には天神さまが有名で、絵馬が沢山奉納されているのを見かけることがありますが、地元の神社にお参りすることが基本です。合格した折は、御礼参りをし、更なる学業成就をお願いします。就職祈願も同様です。
 不幸にして不合格になっても、心新たに再挑戦する事を誓い、神さまのご加護をいただけるよう努力したいものです。