神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第13章 神宮式年遷宮
二十年ごとの日本民族の再生

二、遷宮の意義

 神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)は「皇家(こうけ)第一の重事(じゅうじ)」といわれ、戦前は国費で行われていた、日本の国にとって極めて重要なお祭りです。
 神宮の建物は、掘立柱(ほったてばしら)に萱葺(かやぶ)き屋根という素朴で清純な建物です。神道は清らかさを重んじますが、大御神(おおみかみ)さまに常に清浄な所にお鎮(しず)まりいただくために遷宮は行われます。
 常に瑞々(みずみず)しく、尊厳を保つことによって、神さまの御神徳(ごしんとく)も昂(たかま)ります。その御神威(ごしんい )をいただいてこそ、私たちの生命力が強められるという、日本民族の信仰心の表れととらえられています。
 日本の「木の文化」に対し、西洋は「石の文化」といわれます。エジプトのピラミッドやギリシャの神殿などのように、ヨーロッパや中近東では、石を用いて建築物や工芸品を作りました。建てたときは永久不滅のものだったのでしょうが、その多くが今では廃墟になっています。しかも、建物が壊れて廃墟になっただけではなく、それを作った技術、さらには、信仰や精神も消滅してしまいました。
 一方、日本民族は、物も心も有限であるという考え方を基底にもっています。有限であるがゆえに、たえず新しいものに更新し続け、確実に後世に伝えていくという努力と作業を繰り返してきました。つまり、命の継承といえます。結果として、物が常に瑞々しい形を保ち続けるとともに、技術も継承され、物も心も永く久しく伝えることができるのです。
 式年遷宮の思想は日本民族の叡智(えいち)として世界から賞賛されています。