神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第13章 神宮式年遷宮
二十年ごとの日本民族の再生

五、遷宮の奉賛

 「式年遷宮(しきねんせんぐう)」には、たくさんの祭典や行事がありますが、一般国民が参加できる行事は二つあります。「御木曳(おきひき)行事」と「御白石持(おしらいしもち)行事」です。この二つの行事は、数ある遷宮の行事の中でも、唯一私たち国民が関わることができる行事です。

【御木曳(おきひき)行事】

 「御木曳(おきひき)」とは、木曾の山から伐(き)り出され、伊勢に運ばれたご用材を内宮と外宮に曳(ひ)き入れる行事です。平成十八年五月から六月にかけて、十五日間外宮で行われ、七月に四日間内宮において行われました。そして平成十九年五月から七月にかけて、前年同様内宮と外宮両宮において行われます。
 御木曳(おきひき)には、五十鈴川をさかのぼる内宮の「川曳(かわびき)」と、宮川から旧参道を曳く、外宮の「陸曳(おかびき)」とがありますが、いずれの奉仕者も木遣り(きやり)歌や、道中での奉祝舞踊などの稽古を重ね、二見浦(ふたみがうら)で心身を清める「浜参宮(はまさんぐう)」を済ませて御木曳に奉仕する、という姿は変わりません。白無垢に揃いのハッピ姿で木遣り(きやり)歌をうたい「エンヤ、エンヤ」のかけ声も勇ましくご用材を曳き入れるさまは、式年遷宮に奉仕できる人々の喜びと感激が満ちあふれる勇壮な行事です。
 本来は神領民(しんりょうみん、地元の人々)だけの行事でしたが、国民こぞっての奉仕の誠を捧げるという意味で、前々回、昭和四十八年の第六十回の遷宮から一般の人々も奉仕できるようになりました。この第六十回の遷宮では全国の希望者の中から一万人、前回、平成五年の第六十一回の遷宮では、三万二千人以上の人が参加して陸に川にと、盛大な御木曳が繰り広げられました。

【御白石持(おしらいしもち)行事】

 「御白石持」行事は、新しい御社殿のまわりに白い石をひとつずつ丁寧に敷きつめる行事で、平成二十五年八月に予定されています。
 内宮・外宮の遷宮に先立ち、新宮に奉献する行事が御白石持行事であり、中世以降、神領民の伝統行事として遷宮の年に行われてきました。その準備は数年前から始められ、それぞれに「御白石持奉献団」を組織して、宮川の河原でこぶし大の白い石を拾い集めて蓄えることから始まり、「御木曳」と同様に木遣歌の練習や町内の美化、二見浦での「浜参宮」などの諸行事を行います。一人一人が清浄な白布にお白石を包み、お祓いを受けたのちに木の香りもかぐわしい、新しいお宮の御敷地(みしきち)に奉献します。また、奉献後御礼参りのために「上り参宮」を行うことも御木曳と同じです。
 この行事は本来、神領民の行事でしたが、前々回、昭和四十八年の御白石持行事から一般の国民も参加できるようになりました。
 御白石持行事は、一般の人々が御敷地に入り、新しい御社殿を拝することのできるただ一度の機会でもあります。