第10章 お正月
新年を迎えるって、どういうこと?
四、若水(わかみず)汲(く)み
若水とは、元日早朝に一番初めに汲む水のことで、人を若返らせ邪気を祓う力があると信じられています。
若水は、福水(ふくみず)・若井(わかい)・初井(はつい)などとも呼ばれます。元日の朝早く、まだ人に会わないうちに汲みに行き、もし人に出会っても口をきかないしきたりであったといいます。
平安時代の宮中では、立春の日に天皇さまに差し上げた水(立春水)を若水といいましたが、後世になり元日に汲む水を呼ぶようになりました。
その水で歳神さまへの供え物や家族の食物を作ったり、口を漱(すす)いだり、茶をたてたりします。若水を汲むことを若水迎えともいい、その家の主人や長男がこの役目をはたします。
この行事は新しい年を迎えるにあたって、生命を育む水の力に対する信仰がもとになっているといわれています。水神が、生命誕生や再生に大きな役割を果すことは、日本神話に見られるように古くからの伝承です。