神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第9章 四季の行事
年中行事って、もとはお祭り

コラム 新暦と旧暦はどう違うの?

 私たちにとって一日の変化は昼と夜の繰り返しで認識でき、ひと月の期間は月の満ち欠けによって計ることができました。一方季節の変化は太陽の角度と日照時間の変化によって知ることができました。つまり、一ヶ月は文字通り月の変化で、一年は太陽の変化で計ることができたのです。そこで月の満ち欠けを基準として作られたのが太陰暦で、太陽の一回帰を基準としたのが太陽暦です。中国では太陰暦を基本としつつも太陽の運行に合わせて季節の変化を調整する太陰太陽暦がつくられました。
 我が国に暦が伝えられたのは、持統天皇四年(六九〇)で、その後平安時代の貞観(じょうがん)四年(八六二)から江戸時代までの一千年にわたり、我が国の国情を加味した宣明暦(せんみょうれき、太陰太陽暦)という暦が使われてきました。
 それが今日のように変わったのは、明治五年十二月三日を明治六年一月一日とする太陽暦(グレゴリー暦)を採用したときからです。しかし、この暦の採用によって従来の季節感からいえばまだ十二月なのに正月の行事をしなければならないなど、暦日が約一ヶ月早められたため、全ての年中行事がそれまでの季節感とはかけ離れたものとなってしまいました。そこで、お盆の行事のように従来の季節感に合わせるために、旧暦で七月十五日であったのをひと月遅れの新暦八月十五日に移動して行事を行う場合もでてきたのです。お月見の項でも説明しましたが、十五夜・十三夜は旧暦で行うために現在の暦とはズレが出てくるのです。

旧暦と新暦の違いを数字にしてみると

旧暦 一ヶ月が二九、五三日 一年は三五四、三七日
新暦 一ヶ月が三〇、四三日 一年は三六五、二四日
その差 約十一日 三年で三三日

 月の一年を太陽年三六五日にあわせるためには、十九年に七回同名月を加え、一年を十三ヵ月にする必要があります。この挿入月を閏月(うるうづき)といいます。二、三年毎に一年が十三ヵ月の閏年が入ります。太陰暦は、この閏月を設けることにより、太陽暦との誤差を調節しているのです。