神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第3章 神社のお祭り

十、新嘗祭(にいなめさい)

 新嘗祭は、十一月二十三日(古くは十一月の第二の卯の日)に宮中および全国の神社で行われる収穫感謝のお祭りです。新嘗とは、「新饗(にいあえ)」の意味で、「新」は新穀、「饗」はご馳走(ちそう)を意味します。春のはじめに祈年祭を行い五穀の豊穣を祈るのに対し、収穫の秋に豊かに稔った新穀を神前に供え、神さまの恵みに感謝するのが新嘗祭です。起源は古く、『古事記』に天照大御神が祭りを行ったことが記されています。
 宮中では、深夜にわたるお祭りを奉仕され、天皇陛下御親らが天神地祇(てんしんちぎ)に新穀をすすめて、ご自分もお召し上がりになられます。また、年毎の新嘗祭に対し、天皇の即位後初めての新嘗祭を大嘗祭(だいじょうさい)といいます。
 全国の神社では、新穀感謝と諸産業発展の感謝も合わせて祈られます。現在では、勤労感謝の日として国民の祝日となっていますが、このお祭りに由来しています。
 その年に初めて収穫されたお米のことを初穂といいます。もともと最初に収穫された稲穂を、感謝をこめて神さまにお供えすることを意味していました。ですから、新米は先ず神さまにお供えしてから、私たちがいただくのが本義です。初物をお供えすることと同じ意味です。