神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第12章 伊勢の神宮
日本民族の総氏神さま

十、内宮と外宮の違いを教えてください

 内宮・外宮の両御正宮(ごしょうぐう)はともに唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)ですが、少しずつ違いがあります。まず屋根の棟に飾られた丸い鰹木(かつおぎ)を数えてみると、内宮は十本、外宮は九本(御正宮以外の社殿は、内宮が偶数、外宮が奇数)。また、屋根の両端から空高く伸びる千木(ちぎ)も、内宮は「内削(うちそぎ)」といって地面に対して水平に切られていますが、外宮では垂直に切られる「外削(そとそぎ)」です。このほか内宮には御饌殿(みけでん)がなく、外幣殿(げへいでん)が板垣(いたがき)の外に建てられているのに対して、外宮では御饌殿と外幣殿が共に板垣の中にあります。
 また、外宮では「左側通行」、内宮では「右側通行」というのが慣例となっています。これは手を洗い、口を漱(すす)ぐための御手洗場(みたらし)が、外宮では参道を進んで左側に、内宮では参道を進んで右側(五十鈴川、いすずがわ)にあるためで、内宮では五十鈴川に架かる宇治橋もまた右側通行です。
 外宮・内宮の御正宮とともに、別宮・摂社・末社を巡拝(じゅんぱい)し、それぞれの特徴を確認するのも趣のあることです。