第1章 神さまのお話
一、日本の神さま
わが国には、八百万(やおよろず)の神さまがいらっしゃるといわれます。八百万とは、数え切れない程たくさんという意味で、『古事記』(こじき)や『日本書紀』(にほんしょき)に記載され、神社におまつりされている神さまだけが、その全てではありません。もともと、四季の移りかわりに敏感に反応しながら生活のいとなみを続けてきた日本民族は、農耕民族として太陽や雨などをはじめ、自然の恵みは、何よりも大切なものでした。自然界に起こる様々な現象、天変地異、それを神さまの仕業として畏(おそ)れ敬(うやま)ったことに信仰の始まりがあります。そして自然をつかさどる神さまは、私たちの生活のすべてに関わる神さまとして、人々に崇(あが)められるようになったのです。