神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第1章 神さまのお話

八、天神(てんじん)さま

 天神さまは、平安時代の貴族で政治家でもあった、菅原道真(すがわらのみちざね)公をまつる神社として知られています。
 天神さま、つまり菅原道真公は代々文章(もんじょう)博士という学者の家に生まれ、幼い頃からたいへん勉強に励まれ、最年少で国家試験に合格された立派な学者でした。菅原道真公が活躍された時代は、中国の唐の国の進んだ文化を取り入れて、学問を盛んにして立派な国を造ることが行なわれていました。道真公は、歴史や文芸だけではなく、中国の文化に関しても、とてもよく研究されて、その知識を生かして、政治の世界でも右大臣として登用され大変活躍されました。ところが、こうした活躍をこころよく思わない政敵によって、無実の罪を着せられ、九州の太宰府に左遷(させん)され、無念の死を遂げたのです。
 道真公が太宰府で亡くなられた後、都では天災が相次ぎ、政敵は落雷によって死んでしまいました。その後も干ばつや洪水・疫病などの天変地異が続いたため、これらはすべて道真公の怨霊(おんりょう)のせいだとして恐れられるようになったのです。そこでこの祟(たた)りを鎮めるために、京都の北野に道真公の霊をまつったのが、北野天満宮の始まりです。やがて道真公の生前の学問に対する偉大な功績から、学問の神さまとしてのご利益が広まり、広く親しまれ信仰されています。
 「天満宮」「天神社」「菅原神社」「北野神社」などの神社が、天神さまをおまつりしている神社で、全国各地にあります。