神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第1章 神さまのお話

九、八坂(やさか)さま

 八坂神社のご祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。八坂神社といえば、すぐに思い出すのが京都の祇園祭(ぎおんまつり)だと思います。このお祭りは、平安時代、疫病(えきびょう)退散のために御所(ごしょ)内で祇園御霊会(ごりょうえ)が行われたのが最初で、疫病・災害の原因を怨霊と考え、それを鎮めるために牛頭天王(ごずてんのう)をおまつりしました。
 牛頭天王は、インドの祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神といわれ、疫病封じのご利益があることから、仏教伝来と共に、素戔嗚尊(すさのおのみこと)と同一視されるようになりました。八坂神社を天王さまと呼ぶところも多いようですが、それはこの名残です。
 全国各地の八坂神社も、その地域で疫病が流行(はや)り、それを鎮めるためにおまつりされた例が多いようです。夏に行われる天王祭では、地域によってキュウリをお供えする風習も見られます。
 この神さまがなぜキュウリが好物かと言えば、こんな話が伝えられています。その昔、牛頭天王が悪い神さまから逃れるために、キュウリ畑の中に身を隠し難を逃れました。悪い神さまはキュウリのトゲが嫌いだったのでしょう。
 それともう一つ、この八坂神社のご神紋は、ちょうどキュウリを切った切り口に似ているからという説もあります。