神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第2章 神社のお話

十一、ご神鏡(しんきょう)

 丸は欠ける所がない完全な形を意味するとか、縁起がよいとかいわれています。鏡は昔からお祭りにおいて、祭具の中でも特に大きな役割を担ってきました。『日本書紀』には天照大御神が天孫降臨の際、八咫(やた)の鏡を授けられて「吾(われ)を視(み)るがごとく齋(いつ)きまつれ」と仰せられましたが、これは神さまのお姿は目に見えませんが、「この鏡を神さま自身と思ってお祭りしなさい」ということなのです。単に物理的に視力で見るのではなく、心眼をしかと見開いて見よということなのです。鏡と対面するということは、そこに映っている自分の姿を見るとともに、心の内面を深く反省し、清らかな心で神さまと向かい合うことなのです。
 神話の「天岩戸開き」で、天照大御神が鏡に映ったご自分の姿をみて驚いて、「私のような神さまが、もうひとかたおられるのだろうか」と思われたという話しがあります。