神社ものしり事典

御神徳や御祈祷の紹介、神道の歴史や神話などをご紹介します。

第2章 神社のお話

十五、お神輿(みこし)

 神社の大きなお祭りでは、お神輿や山車が練り歩くことがあります。この時に神さまはお神輿や山車にお遷(うつ)りになり、氏子区域を巡ります。お神輿が練り歩くことを渡御(とぎょ)または神幸(しんこう)といい、行列のことを渡御行列または御神幸行列といいます。年に一度、氏神さまがお宮を出られて、氏子区域の各町内を巡り、直接氏子の人たちの生活をご覧になるためです。各町では「お旅所(たびしょ)」といって、お神輿の休憩する所を設け、そこで神さまもしばしお休みいただき、お供え物を供えて丁重にお祭りを行うのです。そして沿道の人たちも、お神輿をお迎えして普段のお礼を申し上げ、また今後のお守りをお願いするのです。
 お神輿は、神さまがお乗りになる乗りものです。普通は木製の黒塗りで、形は四角が一般的ですが、六角や八角などもあり、社殿の形をして、屋根には鳳凰(ほうおう)という飾り物をつけ、彫刻や鈴が取り付けられ、担ぎ棒を通して担ぐものです。
 古来、神道では「魂振(たまふ)り」と言って、神霊の鎮まっている御神体を振り動かすことにより神威が昂(たかま)るという信仰があります。神霊がお乗りになったお神輿を激しく揺り動かすことで、神威が増すとともに、お神輿を担ぐ氏子の人々、地域にも生命力と繁栄をもたらしてくれるのです。